朝早く出かけて、ぶらぶら散歩して明るいうちに帰るっていうおひとり様ルーティンが好きだ。
この前はひとりで皇居周辺を散歩してきた。
皇居の周りって、時間がゆっくり流れてる気がして好きなんだ。
大手町や丸の内っていうゴリゴリのビジネス街と、緑豊かな歴史的景観のコントラストが不思議で面白い。
この日は、まず三の丸尚蔵館へ。
宮内庁が所轄している博物館で、皇室ゆかりの貴重な美術品などが保存•展示されている。
前日にwebでチケットを予約して、9:30の開館と共に入場。
展示品の数はそんなに多くないけど、すべて撮影OK(個人利用に限り)で、初公開のものや会期中に国宝指定された書画なんかもあったりして、なかなか贅沢な時間が過ごせた。
中でもこの「源氏四季図屏風」という作品が息を飲むほど美しくて感動した。江戸時代に活躍した神絵師、円山応挙。「応挙さん絵がうめぇ、絵がうめぇよぉ…」と心が震えた。
正直な話、わたしは皇室の歴史も日本美術も全く詳しくない。
となりで造詣の深いお客さんたちが展示品を見ながら「これがあの○○か」「ここの模様の意味は〜」などと知的な会話を繰り広げていた。
その一方でわたしは「保存状態が綺麗ですごい!」「ガラスがほとんど反射しなくて見やすい!すごい!」「絵がうまい!すごい!」ってそんな感想ばかりで…笑
美術館とか博物館に行くと、こんな浅い楽しみ方でいいのかよ自分、とちょっと不安になる時がある。
まあでもいいか。楽しみ方は人それぞれ自由なのさ!
藤原定家さんが書き写して製本した更級日記。(国宝)
これなんて、状態が本当に美しくて感動した。800年も前のものなのに、紙も破れたり傷んだりしてないし、筆文字も黒々とくっきり残ってて色褪せていない。どれだけ大切に保管されてきたんだろう。
印刷もコピー機もない時代、作品を正しい内容で後世に残したいっていう定家さんの思いを想像すると、ちょっと胸が熱くなる。
あと定家さん、書き文字が結構クセが強くて、わたしも癖字だから「と」とか「な」の書き方に少し親近感をおぼえたのでした。
何百年も前に作られたものが、時を超えてこんなに綺麗なまま自分の目の前にあるって冷静に考えてすごいことだ。たくさんの人が大事に思いを受け継いできたんだね。
騎馬隊と皇室のお馬さんたちに遭遇した pic.twitter.com/fzSjgK78PW
— ドーナツてるの (@sheepmandonuts) 2024年5月9日
見終わって三の丸尚蔵館の外に出ると、騎馬隊と皇室のお馬さんたちが門から出てくるところに偶然出くわした。蹄の音が心地いい。馬好きだ〜馬かわいいよ〜。近くで見れてうれしかった。
そのあとは江戸城本丸跡をぶらぶら散歩。
はてしなく広かった。でも新緑が青々としていて歩いてて気持ちよかった。
蒸し暑くて歩き疲れたので、売店でアイスクリームを買って木の下のベンチでひと休み。
その時友人から「今何してんの」と連絡がくる。
「ひとりで皇居にいるよ」と言ったら「すげー渋いとこにいるじゃん笑」と笑われた。
暇だから行くよ〜と言って、新宿からわざわざ来てくれることになった。フットワーク軽いな!
ちょうど次はランチに行こうと思ってたので、合流して一緒に向かった。
向かった先は、皇居前広場の楠木正成の銅像のすぐそばにある、楠公レストハウス。
(楠公の読み方、"くすのきこう"かと思ったら"なんこう"って読むらしい。職員さんが教えてくれた)
ここはいわゆる大型観光バスのツアー客や修学旅行の団体向けの和食レストランで、この日も修学旅行の学生たちで賑わっていた。もちろん個人のお客さんも利用できる。
団体も利用する施設なのでかなり広々としていて、サービスエリアにある食堂みたいな雰囲気なんだけど、掃除が行き届いていて綺麗だしスタッフさんもてきぱきとしていて心地よかった。
この日の日替わりメニューは赤魚の煮付け。やさしい味でおいしい。どのおかずも丁寧に作られていて滋味深かった。
ランチはドリンクバーがついててお得感。友人と「めっちゃコスパいいな」と話す。オレンジジュースとメロンソーダとアイスコーヒー二杯も飲んじゃったよ。
驚いたのが、店員さんに「お箸はお持ち帰りいただけます」と言われたこと。一瞬「えっ?箸?」となった。皇居参拝の記念に、菊紋入りのお箸を持って帰れるらしい。
えー!こんなリーズナブルなのに、ドリンクバーまでついててさらにお箸までもらっちゃっていいんですか。(しかもこのお箸、隣接したお土産売り場でふつうに売られているものだった)サービス満点すぎやしませんか。
お言葉に甘えて、お持ち帰りさせてもらった。というわけで我が家の食卓に菊紋入りの箸が仲間入りした。わーい。
https://fng.or.jp/koukyo/pdf/place/rest/nanko-rest/food-menu/menu_nanko.pdf
↑お食事メニュー(PDF形式、公式サイトより)
野菜が盛り沢山に乗ったカレーもおいしそうだったからまた来よう。
友人と「ここ穴場だね…そんな混んでないし」「こういうのがいいんだよっていうのが色々詰まってたね」などと話しながら、大満足でこの日は解散した。
皇居御苑の売店で買ったものたち。
会津玉虫塗りのはまなす小箱 ¥2000
はまなすボールペン ¥1200
菊紋入りコンパクトミラー ¥800
噂には聞いていたけど、皇居外苑で売ってる商品もこの品質に対してこのお値段でいいんですかって思うくらい安い!
本真珠の一粒ネックレスが3500円で売ってて「0がひとつ足りてないのでは…」と心配になるほど。
数年前にSNSで、菊紋入りの長財布と小銭入れが大バズりしていて、その財布も牛の本革でできていてひとつひとつ職人さんの手作りなのにびっくりするような価格だった。人気は変わらず続いているようで、「人気の色は入ってきてもすぐ売り切れちゃうんです」と言っていた。
一体なぜこんなに安いのか気になって調べてみると「より多くの、皇居に来てくれた人々に日本の上質なものを手に取ってほしい」という思いで利益度外視の原価ぎりぎりでお出ししているからなんだそうな。
なんという慎ましさと慈悲深さよ。
今回わたしが特に買えてうれしかったのは、小箱。
長い間"ちょうどいい箱"を探してたので、このきれいな玉虫塗りの小箱を見つけた時はすごくうれしかった。
"ちょうどいい箱"とは一体何に使うものかというと、お守りを入れる箱だ。
わたしは神社巡りが趣味なので、友人からたまにお土産でお守りをもらうことがある。その他にも遠方の神社のものや、デザインが気に入っているものはなかなか返納しにいかないので、結構な数が溜まっていたのだ。
今までは適当な巾着袋にいれて保管していたのだけど、その保管方法がいまいち気に入っていなかった。
「お守りを入れるのにふさわしくて、これぞっていうちょうどいい箱がないかな〜」と思いながら、ここ一年くらい過ごしていたのだ。
だからこの小箱を売店で見つけた時は「こんなにもこの用途にふさわしい箱があるか!?」と興奮した。笑
サイズもジャストフィット。めっちゃいい買い物できたな〜!うれしいな。
写真じゃわかりづらいけど、表面に金粉がきらきらしていてとてもかわいいのよ。
15時には帰宅!いい日だったなぁ。
ひとり皇居散歩はいいぞ。